No.4 理事長だより
損をしたらいいんです・・
今は亡きM先生からお聞きしたお話に「人と仲良くするには、ちょっとだけ自分が損をするといいんです」と言うのがありました。なぜか記憶に残っているお話です。どういうことかというと、例えば、兄弟でおいしそうなケーキをもらったとして、半分に切ったら、ちょっと片方が小さくなりました、そういう時、自分が進んでその小さい方を取ったらどうでしょうという話です。
きっちり半分に分けたと思っても、相手はこっちの方が少し大きいと思うものです。大抵の人が、自分のより他人の方が少しよく見えるのか、「隣の芝生は青い」といいますね。自分の庭と隣の庭を見比べては、どうも隣の芝の方がきれいに見えてしょうがない、そういう人間の心理があります。私が小さいとき、母親が肉を焼いて8人の子どものお皿に一切れずつ乗せてくれました。ところが、私には隣の姉の肉の方が、どうしてもちょっとだけ大きく見えてしようがありませんでした。
食料難の時代ですから、余計そうだったのでしょう、損をした、得をしたでものを考えるくせ、他人をうらやましがる根性、凡人はそういうものがあります。
だから、そこで損をするのはちょっと勇気がいりますが、それは価 隣の芝生値ある勇気ではないでしょうか。
3人で庭掃き掃除をするとして、新しい箒が2本、古い箒が1本あったら、その古い、掃きにくそうな1本を自分が使い、新しい掃きやすそうな箒を他人に回す、それも進んでそうすると、かえっていい気持ちのものです。人のために自分をちょっとぎせいにすると、そこには不思議な喜びが湧いてきますね。
自分が一生懸命に何かを作っているとします。
殆ど仕上がる頃になって、友達がきてちょっとだけ手伝ってくれました。やっと仕上がったとき、「僕がこれ作ったんだよ」と言う代わりに、「僕たちでこれ作ったん
だよ」と言えれば、その子は友達を大事にする子でしょうね、恐らく一生、よき友人に恵まれるはずです。
突っ張るばかりでは・・
話合をしているうちにだんだん熱が入ってきて、相手と意見が違うようなことがあります。どうしても譲れないということもあるかも知れませんが、相手の言い分も一理あると思ったら、あっさり、「うーん、なるほどそうだね」と、相手の意見を受け入れることも人付き合いの大事なところ、何とか、かんとか、自分の意見を突っ張って譲らない人がいますが、負けず嫌いも時によりけりで、何時も勝ってばかりいたら、いい友人は出来ないで
しょうね。
譲って損はありません。損どころか、かえっていい気分なものです。「損して得をとる」ということわざもありますが、その得は 「徳」に通じるのではないでしょう